教科書に載ってみたいな日記

教科書にいつか載りたい人が綴る、軽快ラブコメディみたいな、ってかそうでありたい日記でございます。

「お待たせしました」くらい言えよ

スーパーで買い物してレジに並んだ。

 

レジにはお会計してるおばあちゃん1人しかおらず、スカスカだったため買い物かごをレジ台に置いとけるはずだった。

 

しかし、そのおばあちゃんの買い物かごが見事にレジ台の中央に置いてあり、あと5センチくらいの所で俺の買い物かごが入らないような幅を占領していやがったのだ。

 

でももう俺も大人だし。そんなことでは別に腹も立てない。

 

たかがおばあちゃん1人のお会計の間くらいは我慢できるに決まってる。

 

しかも俺が並び始めた時にはそのお会計は佳境に差し掛かっていた。

 

その程度で音を上げるようなヤワな男ではない。

 

俺は澄ました顔で、なんなら鼻歌を歌っているのではないかというくらいに絶妙な角度を向いて待っていた。

 

そして5分ほど経ったところで時間がかかりすぎていることに気づく。

 

レジの方を見てみると店員がすごくゆっくり対応しながらおばあちゃんが小銭を出しまくっている。

 

金額をみると3万越え。

 

しっかりと肌で年末を感じた。

 

そしてちょっとだけムカついたのでせめて買い物かごだけでも置こうと思い、全て乗らないとは分かっていながらも乗せてみた。

 

案の定5センチくらい乗らなくて手を離すと落ちてしまう。

 

でも俺はあえてそこに軽乗せし続けてた。

 

店員が気付いて少しズラすくらいはするだろう。俺だったらそのくらいするぞ。

 

そう心に言い聞かせ一歩も引かずにいた。

 

 

そしてそれはただ俺が引かないだけの戦いになってしまった。

 

全く気付いてくれないしなんならあくびしてた。

 

でもそこで俺が無理やりおばあちゃんの買い物かごをズラすのもなんか違うと思ったのでずっとそのままでいた。

 

店内のBGMがやけに心に沁みた気がした。

 

そうしてるうちにやっと会計が終わり俺の番が来た。

 

なんか普通に接客された。可もなく不可もなくの誰にも印象に残らないであろう接客だった。

 

ポケットの中でバレないように中指を立ててやった。