帰る時もおばあちゃんは待合席を回してた。
なんやかんやで健康診断は今日だった。
検尿をそのまま看護師に渡す好調な走り出しだったが、待合席がどこか分からず少し焦った。
病院の待合席って受付の前のでっかい所とちょっと入ったちっちゃい所があるからどっちかわかんなくなる。
そして中規模の待合席で待ってたら耳の聞こえないおばあちゃんがトーク回してた。
それに俺ともう1人おばさんが少し戸惑いながら相槌を打つ。
ただおばあちゃんは耳が聞こえないからずっと話に入り込む隙を与えない。
一方通行で自己満足して名前を呼ばれるのを待っている。
病院とはそういう場所だったのだ。
そして名前が呼ばれていろんな検査を受ける。
頭がデカすぎて聴力検査の耳に付けるやつがほとんどハマってなかったり、視力検査の下の方は指してる看護師も見えてないだろくらいのサイズ感だったりしたが、無事にほとんどの検査を終えて最後の項目になった。
最後はその病院の総大将的位置にいる人で病院の名前になってるような人、言わばこの病院の創設者が見てくれたのだが、めちゃくちゃおじいちゃんだった。
めっちゃくちびるが青かった。
ってかもう声が出てなかった。
まず自分治せよと思った。